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【マレーシアの通貨】お金の種類や両替レートを在住12年の筆者が解説!

マレーシアの通貨・お金について マレーシアの旅行・観光

今年でマレーシア在住歴12年になる筆者がお伝えする最新のマレーシア情報です!

マレーシアは、元首相のマハティール氏の「ルックイースト政策」もあり、古くからの親日国であり、さらに、10年以上連続でリタイア後に住んでみたい外国の1位にランクインされています。

最近では、GACKTさんが首都のクアラルンプール(現地では略してKLと呼びます)に移住したことで有名になっていますよね。
また教育留学が盛んになってきています。
しかし、マレーシアについて聞かれても、それ以上は知らない、というのが実情でしょう。

マレーシアは、国民一人当たり所得が、ASEAN諸国の中ではシンガポール、ブルネイに次いで高く、先進国の仲間入りも間近になっています。
治安が良く、日本より物価も安く、医療や教育の水準も比較的高く、非常にバランスのとれた国です。

今回の記事では、そんなマレーシアの通貨の単位や種類、現在のレート、両替の方法など、旅行や駐在、移住のときに最も気になる「マレーシアのお金」について、詳しく紹介します。

シンガポールを旅行で訪れて、マレーシアへのツアーもあるという方も多いと思います。
ぜひ、この記事を参考にしていただきたいと思います。

マレーシアの通貨・お金の単位と表記

マレーシアの通貨・お金の単位

マレーシアの通貨の単位は「マレーシアリンギット」で、RMまたはMYRと表記されます。その100分の1が1セン(¢)です。
マレー語での綴りは「RINGGIT」で、最後の「T」をローカルの発音では読まないため、「リンギッ」あるいは「リンギ」というのが正しい発音で、ローカルの間ではそう呼ばれています。また「マレーシアドル」と呼ぶ方もいます。

マレーシアの通貨の歴史

マレーシアの通貨として「リンギット」が使われ始めたのはまだ最近で、その歴史はまだ浅いです。
それは、マレーシアでは、さまざまな通貨が各時代、各地域で使用されていたからです。

そしてその理由はマレーシアの歴史に背景があります。
マレー半島は、かつてポルトガルやイギリスなど、いくつかの国によって統治されていました。そのため、そのときの統治国に従って「海峡ドル」や「マラヤ・英国領ボルネオドル」、また「マラヤドル」という通貨が使用されてきました。

マレーシアは、イギリス植民地時代を経て、第二次世界大戦時の日本による占領後、1963年にマレーシア連邦として独立が成立しました。そして、1965年にはシンガポールが分離独立しましたが、数年間は「マラヤ・英国領ボルネオドル」がそのまま使われていました。

マレーシア リンギットという名前は 1975年に導入されました。通貨記号「RM」(マレーシア リンギット)が導入されたのは、実に1993年になってからです。

マレーシアの通貨(紙幣とコイン硬貨)の種類

それでは、マレーシアの通貨にはどのような種類があるのかを見ていきましょう。

紙幣の種類と特徴

紙幣は6種類で、100、50、20、10、5、1リンギットがあります。
2リンギット紙幣も使用は可能ですが、現在ではほとんど見かけません。

新旧の紙幣が現在でも混ざっていますが、旧紙幣も使用は可能です。
2014年に第4世代の新紙幣の発行がはじまっていて、1リンギット紙幣と5リンギット紙幣には、ポリマー(プラスチック)加工が施されています。水に濡れても大丈夫です!
50リンギット紙幣は、国王の肖像の右側に、銀色のホログラム加工のラインを施していて、角度の具合によっては変色するため、偽札防止になっています。

すべてのリンギット紙幣の表面には、初代の国王のアブドゥル・ラーマンの肖像が印刷されています。
裏面には、マレーシアを象徴する建物や物品が印刷されています。

硬貨の種類と特徴

硬貨は50、20、10、5センの4種類でリンギット硬貨はありません。
1セン硬貨もありましたが、2008年にすでに廃止されていて、ほとんど流通していません。
買い物の際に1セン単位の支払いが必要になる場合がありますが、その場合には、端数は、切り下げか切り上げをして計算されます。

これまでに発行された硬貨は3世代あり、1967年発行の第1世代の硬貨は一番古い世代の硬貨ですが、最近ではほとんど見かけません。
1989年に発行された第2世代は今でも多く流通しています。
デザインは、表面には国花であるハイビスカスが刻印されていて、裏面にはマレーシアの伝統的な物がデザインされています。
2011年に発行された第3世代の硬貨は、50セン硬貨には切り込みが入っています。デザインは第2世代と同じで、表面にはハイビスカス、裏面にはマレーシアの物品がデザインされています。

最新・過去の日本円レート

■マレーシアリンギット・日本円最新レート

2023年10月の執筆時点の対円のレートは、1リンギットが31.48円でした。
為替レートを確認すると、1984年くらいまでは、1リンギットは約100円程度でした。しかし、その後円高傾向になったことにより、2011年頃には約24円までリンギット安が進みました。
ここ10年ほどのマレーシアリンギットと日本円のレートは、1リンギットは24〜35円のレートの範囲で変動しています。

マレーシアは原油や天然ガスの産出国で、重要な産業のため、通貨は原油価格に連動する傾向にあります。そのため、原油価格が大幅に下落をした2015年くらいから、1リンギットが約33円から、1年ほどで24円程度にまで下落しています。
コロナ禍の影響で、原油価格が2020年前半から再び急落した際には、24円程度に落ち込みましたが、徐々に原油価格が戻り始めて、最近では30円強まで戻しています。

また、2018年以降は、リンギットは、対円だけでなく他の通貨に対しても安くなっている傾向があります。これは、マレーシアで初めて政権交代が起きて、政治の不安定さがリンギット安の一因であると言われています。

マレーシアで両替・換金のおすすめの場所や方法

海外旅行のときに心配になるのは、やはり、日本円からの両替が簡単にできるかどうかですよね。また、信用できるのか、安全なのかも重要なポイントです。

マレーシアでは、空港には地元の銀行が両替所を開設していますし、ホテルでも両替してもらえます。
また、街中、とくにKLや観光客の多いペナンやマラッカなどでは「公認両替所(Licensed Money Changer)」がたくさんあり便利で、まず信用できますし、観光客の多い都市であれば、それほど危険を感じることはありません。

日本での両替はおすすめできる?

まず、日本出国前に、空港で両替するのはやめておきましょう。
日本で両替する場合には、米ドルやユーロなどの主要な通貨のみ交換率がいいので、マイナーなマレーシアリンギットは手持ちも少なく、基本レートもよくありません。

空港や街中のお得な両替方法

KLの空港でも両替できますが、必要最小限にとどめた方がいいでしょう。
空港にある銀行の両替所は、レートもまずまず適正で安心ですが、KLやペナンなどの観光地の場合には、市内には多くの両替商があり、レートがよい場合が多いので、当面必要な額だけを、まずは替えておきましょう。
ただ、田舎町などに行く場合には、空港や大きな都市の両替所で替えておいた方が安心です。
シンガポールからマレーシアのジョホールバルへ来られる方は、まずはシンガポールで必要額を両替しておき、足りない分を市内で替えた方がいいでしょう。

ただ、両替所の中には、観光客だと悪いレートを提示してくる場合もあるので、事前に銀行のレートをチェックしたり、しっかりと電光掲示板で案内している両替所を選びましょう。

両替レートが良いおすすめの場所

KL市内でレートが良くて有名なのは以下の3カ所です。
いずれも有名なショッピングモールで、観光のコースにも入っている場合が多いので便利です。

(1)ミッドバレーメガモール(Mid Valley Mega Mall)

マレーシア・ミッドバレーメガモール
参照:Mid Valley Megamall (wikipedia)

KL市内にあり、東南アジアで最大級の規模を誇るショッピングモールで、隣接する「ザ・ガーデンズモール(The Gardens Mall)」と合わせると巨大なモールです。
この両モールの中にはいくつかの両替商がありますが、その中でもLG階(日本で言う地下1階に当たります)にある「MY MONEY MASTER」と「KL Remit Exchange」が比較的レートがいいです。

(2)パビリオンKL(Pavilion KL)

パビリオンKL(Pavilion KL)
参照:Pavilion Kuala Lumpur (wikipedia)

やはりKLを代表するショッピングモールで、ブキビンタンというマレーシアを代表する繁華街にあるため、中東やアジア各国からの観光客をたくさん見かけます。
「Tokyo Street」という日本タウン(規模は小さいですが)もあり、ブランドショップも数多くあるため、日本人にも人気です。
「KL Remit XChange」という両替商が2階にあり、いつも混んでいて人気があります。

(3)KLCC(Suria KLCC)

マレーシアKLCC・ペトロナスツインタワー

かつては世界で1番高いビルで、二本の尖塔のようなフォルムは有名です。
中には「伊勢丹」や「紀伊國屋」が入っているため、日本人にも人気のあるモールです。
「LuLuMoney」という両替商が地下にあります(少しわかりづらい場所ですが)。

土日でも両替は可能か?

両替商は基本的には年中無休で、ショッピングモールにある場合が多いので、営業時間はショッピングモールに準ずるケースが多いです(ただし、開店時間は11時ごろが多いです)。

ATMでのキャッシングは可能か?

急きょお金が足りない場合には、ATMを利用して、預金してある日本円をリンギットで引き出すことも可能です。
クレジットカードがあれば、「Cirrus」か「PLUS」のロゴがあるATMから現地通貨リンギットを引き出せます。ATMはショッピングセンターやLRTの駅構内、コンビニエンスストアなどにあり、24時間利用可能です。

マレーシア現地の支払方法や現金・小銭の持ち歩き

キャッシュレス化はマレーシアでも急速に進んでおり、とくにコロナ禍で一気に加速した感があります。調査によると、15歳以上の国内消費者のうち、70%以上が何らかのキャッシュレス決済を利用しているようです。

サービスの種類としては、デビットカード、交通系IC、配車アプリ、クレジットカードなどがあります。
そして、スーパーの買い物やオンラインの買い物などは国内銀行の「デビットカード」、公共交通料金やアプリが使える店では「タッチアンドゴー(Touch’n Go)(略して TNG」、配車やフードデリバリーなどでは、アジアを代表する配車アプリの「グラブ(Grab)」と、使い分けている人が多いです(私も)。

現金支払に限られるシーンは多いか?

市場やフードコートなどでは、以前は現金しか使えないことが多かったですが、現在では多くの店で、デビットカードでの支払いやアプリでの決済が可能になっています。
路上の屋台などでも、アプリでの決済が急速に広がっており、現金のみしか受け付けないという場面は、かなり減ってきています。

どのように現金を準備しておくと良いか?

まずは、到着した空港で最低限のお金を両替しておきましょう。
そして、観光でKLなどの市内に出たときに、両替商で必要なだけ両替しましょう。

マレーシアで食事をする場合には、フードコートであれば1食5〜10リンギット程度です。レストランで食事を考えている方は、最低10リンギットは見ておいた方がいいでしょう。
交通費はタクシーや配車サービスが中心になるので(マレーシアは公共交通機関が少なく、接続もされていないので)、1日50リンギット程度でしょうか。
チップの習慣は基本的にはありませんので、あまり気にしなくても大丈夫ですよ。

マレーシアは、日本やシンガポールと比べると、残念ながら犯罪率は高く、ひったくり犯などが多いのが実情です。
かといって、どこもかしこも危険だらけということは決してなく、普通にしていればまず問題はありません。
ただ、あまり現金を持ち歩かない方が賢明で、両替のときにも、少し周りを気にするようにしましょう。
便利な「タッチアンドゴー(Touch’n Go)」や「グラブ(Grab)」のアプリをダウンロードしておくことをおすすめします!

対米ドルレートとマレーシア経済

執筆時点(2023年10月)のマレーシアリンギットの対米ドルレートは、1リンギットは0.21米ドルです。

■マレーシアリンギット・米ドル最新レート

すでに紹介したように、マレーシアは原油や天然ガスの産出国であるため、通貨は原油価格に連動する傾向にあります。

過去10年の対米ドルのレートを見てみると、10年前の2013年には1リンギットは約0.32米ドルでした。その後2015年までの2年間でリンギット安が進み、1リンギット0.22米ドルまで落ち込みます。
その後、コロナ禍前の2019年までは、1リンギットは0.22〜0.25米ドル範囲内で変動しています。この2〜3年間は0.24米ドル近辺で変動しています。
2023年に入って再びリンギット安が進み、0.21米ドル辺りが続いています。

マレーシア経済を一言で言うと、安定した成長と低いインフレ率が特徴です。
また、もうひとつの特徴は、貿易が活発なことで、30年ほど長期的な貿易黒字が続いています。主要輸出品目は、原油と天然ガス、パーム油で、さらに電気や半導体製品が主要な輸出品目になっています。

現在マレーシアの人口は3,340万人で、人口増加率は過去10年の平均で年1.3%程度です。平均年齢は29.2歳で、20〜40代の若い年齢層が増える形になっており、きれいな人口ピラミッドを形成しています。

マレーシアの人口ピラミッド
参照:Demographics of Malaysia (wikipedia)

現在人口ボーナスが発生している状況と言え、さらに、購買力の観点から言っても、今のリンギットは安すぎると思われ、さらに、高い潜在的成長率をいまだに持っていることから、今後リンギットが強くなると予測されています。


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