「バクテー」という料理をご存知ですか?バクテーは中華系マレーシア人(華僑)が誇るマレーシア料理です。
私自身もバクテーが好きです。初めてバクテーを食べた時はあまりにも美味しくて、次の日もバクテーを食べに行ったという記憶があります。
バクテーとはどんな料理なのか、バクテーはどんな時に、マレーシアのみんなに食べられているのかなどについて、マレーシア現地からご紹介します。
■目次 1. バクテーとはそもそもどういう料理か? 2. バクテーはどのように食べるのか? 3. バクテーの作り方/一般的なレシピ 4. バクテーはどういう食事のシーンで食べられるか? 5. バクテーの発祥: もともとバクテーは出稼ぎ男たちの料理だった! 6. バクテーはマレーシアのどのようなお店で食べられるか? 7. バクテーをお土産(バクテーの素・スープパック)でも買える!
バクテーとはそもそもどういう料理か?
バクテーは、漢方に豚肉、キノコ類、揚げ豆腐、ニンニクなどを入れて煮込んだ漢方スープです。
スープの色が茶色で独特の香りがしますが、ご飯との相性がとても良く、ご飯がどんどんススム味です。
バクテーには2種類あり、スープバクテーとドライバクテーと呼ばれています。
名前の通り、スープバクテーはひたひたに使った漢方スープが出てきますが、ドライバクテーは漢方スープが煮詰められた状態で提供されます。
それをご飯と一緒にいただきます!
肉がたっぷりと入っているのでこってりとした印象を受けますが、実際に食べてみると意外とあっさりしています。これは漢方効果なのでしょうか?
漢方やニンニクがたっぷりと入っているので、食べるととても元気になる感覚を受けます。
ちょっと疲れていてパワーをつけたいなというときにぴったりです。
バクテーの食べ方: 現地の人はどのように食べるのか?
バクテーのお店に入ると、まず、店員が注文を聞きに来ます。彼らは「スープバクテーかドライバクテー」かを確認します。
地元の人は、団体で行った場合、ドライバクテーとスープバクテーを半々で注文し、みんなで分け合います。
少人数で行った場合、スープバクテーのみを注文しているようです。こうやってみると、やはりスープバクテーの方が主流という印象を受けます。
その後、バクテーの中に入れる肉の種類を確認します。
人によっては肉と一緒に内臓を入れるのを好む人もいますし、豚バラのみを入れることを好む人もいます。それぞれ好き好きで注文します。こだわりがなければお任せでも大丈夫です。
その後、野菜炒めなど副菜がいるか、ご飯は何人分欲しいかなど聞かれます。それぞれの質問に答えると注文終わりです。
次に、バクテーを待っている間に、バクテーを食べる準備をしましょう!
■お店で見かけるヤカンのお湯でお茶を用意
マレーシアのどこのお店でも大抵目にするのがヤカンで、あちこちに置かれお湯が湧いています。
このお湯は便利で、セルフサービスでお茶を自分で入れたり(お茶の葉は有料です)、スプーンやフォーク、箸などを熱湯消毒するのに使います。
バクテーを待っている間、洗面器のような容器に自分たちが使いたい分の食器を入れ、ヤカンのお湯をかけて熱湯消毒しましょう。
そして急須にお湯を入れ、熱湯消毒したばかりのコップにお茶を注ぎます。
■手作りガーリックチリ醤油を作ってバクテーを待つ
また、各テーブルにはガーリックとトウガラシのみじん切り、醤油が置かれていますので、小皿に適量のガーリック、トウガラシ、醤油を入れて手作りガーリックチリ醤油を作ります。
このように準備している間に、バクテーが到着します。
バクテーは土鍋に入れられグツグツした状態で運ばれてきますので、スープが熱いうちにみんなで分け合って食べましょう!
好みで先ほど手作りした、ガーリックチリ醤油に浸しながら食べるのが、マレーシアの地元流の食べ方です。
■お茶とバクテーの相性が抜群!
このバクテーととても相性がいいのが先ほど準備したお茶です。
お茶は何度でもお湯を足して飲むことができるのですが、その度に少しずつ味が変わります。変わっていく味わいを楽しむのは中国茶の特徴のようです。
バクテーの作り方/一般的なレシピ
バクテーは、マレーシアの家庭でも一般的に作られています。
地元の人は家族と一緒に食事をする時や、人を招待してもてなすときのメニューに、バクテーがある印象を受けます。
バクテーを作る時は、スーパーなどでも普通に売られているバクテーの素を使うのが一般的です。
■バクテーの材料 ・バクテーの素 ・ニンニク(まるまる一個) ・豚肉(バラ肉のブロックが特にオススメ) ・キノコ類 ・揚げ豆腐 ・レタス ■バクテーの作り方 ※作り方はパックの後ろに記載されているので、説明書を見ながら作ることができますが、ここでは一般的な作り方を紹介します。 ①鍋に水とバクテーの素、ニンニクを入れる。(ニンニクは皮ごと入れるのがコツです) ②煮立ってきたら豚肉を入れ、豚肉に火が通ってきたらキノコ類を入れる。 ③味を確認し、醤油、砂糖などを入れ味付けをする。 ④揚げ豆腐を入れる。 ⑤火を止めた後でレタスを入れる。 ※ポイントは、ニンニクを皮ごと入れること、レタスは最後に入れシャキシャキ感を楽しみながら食べることです。
バクテーはどういう食事のシーンで食べられるか?
バクテーは、多くの場合、朝ごはんとして食べられています。
朝にお店が開き、午後には閉まることが多かったのですが、最近は、ランチやディナーの時間でも食べられるようになってきました。
肉がたっぷり入っているので、最近はランチやディナーとして食べる人が多いように感じます。
■バクテーの食事の値段はどのくらい?
マレーシアでは、バクテーは比較的高級な料理の位置付けになっています。一食1人分が大体20RM前後(約520円)です。
マレーシアは食事代が安く、一般の人が行くようなフードコートでは、首都のクアラルンプールでも6~10RM(約150円〜260円)もあれば、一食1人分を賄うことができます。
そう考えるとバクテーが割高だとイメージできるのではないでしょうか?
バクテーの発祥: もともとバクテーは出稼ぎ男たちの料理だった!
マレーシアでは、バクテーの発祥地はクラン(セランゴール州の都市)だと言われています。
今から3、4世代前に、中国から多くの男性が出稼ぎのため単独でマレーシアにやってきました。
そんな男たちは、本国に置いてきた家族を呼び寄せるため、また、ひと財産を築くために、一日中せっせと働きます。そのパワーの源がバクテーだったのです。
彼らは、漢方を煮出し、肉やら野菜やらを突っ込んでスープを作りますが、それがバクテーの始まりだったと言われています。
きっと愛する家族のために朝からたっぷりと栄養をつけ、仕事に臨んだのでしょう。
今では高級料理扱いになっているマレーシア料理のルーツを知ると、中華系マレーシア人がバクテーを誇る理由がわかるような気がします。
苦労して一生懸命に働いてきた先祖に敬意を払い感謝しているので、バクテーという料理に対しても、より一層誇りを持っているのかもしれません。
バクテーはマレーシアのどのようなお店で食べられるか?
バクテーの発祥地はクランの街なので、美味しいバクテーが食べられる店はクランに偏っています。
ただ、旅行などで滞在が短く、「クランまでわざわざ行くのは効率が悪い…」という時は、クアラルンプールの中華街などでも食べられます。
看板に「肉骨茶(バクテー)」と書かれているお店を探しましょう。
バクテーをお土産(バクテーの素・スープパック)でも買える!
先ほども紹介した通り、バクテーは地元の家庭でも一般的に食べられますので、スーパーで簡単にバクテーの素を買えます。
バクテーをその場で食べてみて気に入ったらお土産に持って帰るのはいかがですか?
私自身バクテーの素をお土産として買って帰り、自分で料理してマレーシア料理を振舞うことがあるのですが、評判はそこそこ良いように感じます。
気に入ってくれた友達から「バクテーの素をお土産に持って帰ってきて!」とリクエストを受けることもあります。
そんな時のお土産のオススメは、「A1バクテー」! おすすめの理由は単純です。マレーシアの地元の友達が勧めてくれたから。
特にA1バクテーは、ピンク色のパックと黒いパックがあるのですが、友達曰く、「黒いパックの方がおすすめ」なのだとか。
理由は、「こっちの方が割高だけど、それだけ、よりお店のバクテーに近い味を再現できているから」なのだそう。
実際に開けてみると、中から木の根っこのような皮のようなものがたくさん出てきます。
それを直接水に入れてエキスを抽出するので、よりリアルなバクテーを味わえました。
中国系マレーシア人が誇るバクテー!
中国系マレーシア人が自慢そうに「僕らが作っている料理のほとんどは、中国から伝わってきたものだ。でもバクテーはマレーシアで作られたんだ。れっきとしたマレーシア中華料理だ」というのを時々聞くことがあります。
彼らが誇りに思っているバクテー。そんなバクテーはパワーが出ますし優しい味です。
旅行中に疲れが溜まってきた頃に食べると、疲れが取れ、次の日の旅への備えができるのでオススメです。