東京「上野」界隈は、比較的気取りのない下町情緒漂う魅力で一杯。遠来のお客様は元より通い慣れた人達にも新しい発見が期待できるとても楽しい街です。
東京「上野」界隈には、景色を眺める所は比較的少ないのですが、歴史や下町情緒を感じながら散策(観光)するならとても良い街です。
「歴史・・・」とは言うものの難しいことはありません。その場所に行けば(立てば)自ずと感じ観ることができます。
【豆知01】東京「上野」へのアクセス 「上野」界隈を散策するのに便利な最寄駅はJR「上野駅」とお隣りの「御徒町(おかちまち)駅」です。 他にも東京メトロ銀座線「上野広小路駅」や千代田線の「湯島駅」も便利です。 また成田空港からは京成本線「上野駅」がわかり易くたいへん便利です。 JR「上野駅」は東京環状線であるJR山手線の主要駅の一つ。 東北・常盤方面からの北の玄関口として長い歴史があり、「上野」界隈は幕末から明治、関東大震災、そして敗戦からの復興など時代の転換期の舞台となったところです。
■目次 <上野の観光・散策スポット> 1. 「上野恩賜公園」:近代日本の文化芸術の宝箱 2. 「東叡山寛永寺」と「不忍池(しのばずのいけ)」:比叡山延暦寺を模した(イメージ)を散策 3. 「上野駅」:この駅がみた明治・大正・昭和・平成 4. 「上野動物園」:パンダが見られる日本で最初の動物園 5. 「東京国立博物館」:いつでも国宝、重文を観ることができます。ミュージアムショップも充実。 6. 「黒田記念館」:黒田清輝の代表作を真近で鑑賞(読書・舞妓・湖畔等) 7. 「国立科学博物館」:子供と大人も自然科学を体感できるアミューズな博物館 8. 「国立西洋美術館」:建物は世界遺産。庭のロダン作品は撮影ポイント 9. 「東京芸術大学」:道路を挟み芸術学部と音楽学部。空気の違いを体感</a> 10. 西郷隆盛像:上野のお山の西郷さんで親しまれています。この西郷さんの前で様々な人生ドラマが・・・・11. 「横山大観記念館」:横山大観の自宅軒先から庭を眺めると・・・・(史跡及び名勝)12. 「下町風俗資料館」:下町の風情をスピード体感するならここが一番13. 「旧岩崎邸庭園」:近代日本をけん引した豪商「三菱」の三代目(岩崎久彌)の館(重要文化財)。14. 「湯島天神」:合格祈願と映画「婦系図湯島の白梅」の関係15. 「アメヤ横丁(アメ横)」:敗戦後を生き抜いた下町パワーが溢れています。 16. 「上野鈴本演芸場」:160年続く笑いの殿堂 17. 「谷根千(やねせん)」へ抜けるゆっくり歩ける下り坂 <上野の観光・散策の関連ページ> - 上野周辺のおすすめ観光・散策スポット地図 (Googleマップ) - 上野駅周辺のショッピング・買い物: 駅中・アメ横周辺などで買える洋服・ファッション品・お土産など - 上野のおすすめグルメ・食事とお店/食べ物屋: 日本・アジア・洋食などをランチやディナーで
1. 「上野恩賜公園」:近代日本の文化芸術の宝箱
徳川家康がこの地に東叡山寛永寺を創建して広大な寺領(境内)を与えましたが、幕末(十五代将軍慶喜のとき)の「上野戦争」により殆どの伽藍が焼失しました。
明治維新後、医学校と病院の建設のためオランダ人医師アントニウス・ボードウィンがこの地を視察して、公園として残すよう政府に進言した結果、1873年、日本最初の公園が誕生しました。
ボードウィンは「上野公園」生みの親ということになります。
当時の公園内には教育博物館(国立科学博物館の前身)、現東京国立博物館(東博)表慶館(1909)、東京音楽学校(現東京芸術大学)など様々な施設が建造され、宮内省から東京府へ下賜され「上野恩賜公園」となりました(1924)。
平成の大規模な公園整備が行われ上野のお山は近代日本の文化芸術の宝箱として輝きを取り戻しました。
【豆知02】※ボードウィン博士像 公園内の噴水広場の傍にボードウィン博士像があります。1973年、この像は公園指定100周年を記念してオランダ大使館から贈られたのですが、製作過程で誤って弟(元駐日オランダ領事)の写真を基に製作されたことが判明、胸像の取り替え活動の結果、2006年にご本人の像になったそうです。
■上野の観光スポット情報 ・所在地:〒110-0007 東京都台東区上野公園5−20 ・参考サイト:上野恩賜公園(東京の観光公式サイト GO TOKYO)
2. 「東叡山寛永寺」と「不忍池(しのばずのいけ)」:比叡山延暦寺を模した(イメージ)を散策
1625(寛永2)年、徳川幕府の安泰と人々の安寧を祈願して江戸城の鬼門にある上野のお山に建立されたのが東叡山(東の比叡山の意)「寛永寺」です。
不忍池を琵琶湖に見立て、池の中ほどには弁天堂、池を見下ろす所に清水寺を模した清水観音堂、大仏殿、五重塔、現在の上野公園にある噴水広場に延暦寺でいう根本中堂、東京国立博物館の辺りに本坊がありましたが、幕末の上野戦争で殆どの建造物を焼失しました。
僅かに現存する建造物もあって徳川幕府の権勢を偲ぶことができます。
【豆知03】※寛永寺 現在の寛永寺(本堂)は、芸大音楽学部の裏手にあり、本来の建物ではないが、内陣の厨子には秘仏薬師三尊像を安置(非公開)。最後の将軍(慶喜)が蟄居していた書院が保存されています(非公開) 【豆知04】※旧本坊表門(通称:黒門・重文) 本来は東博正面にありましたが、現在は東博正面を右に進むと移築された黒門をみることができます。 【豆知05】※清水観音堂(重文) 西郷さんの銅像近く不忍池に向かうと寛永8年(1631)建造のお堂に千手観音が祀られています。規模は小さいものの京都清水寺同様の懸造(かけつくり)を観ることが出きます。江戸三十三ヵ所霊場第6番札所。 【豆知06】※不忍池の中之島にある弁天堂 琵琶湖の竹生島にある宝言厳寺の弁財天を分霊祀ったお堂。現在の建物は八角堂として再建したもの。 【豆知07】※旧寛永寺五重塔(重文) 寛永8年(1631)に建立、寛永16年に焼失して直ちに再建された2代目です。塔は上野動物園内のパンダ舎の反対側の鳥の展示室の裏手にあります(動物園の外からでは全貌を観られません。)。塔に安置されていた釈迦如来、薬師如来、弥勒菩薩、阿弥陀如来は東博に寄進さてています。なお、この塔に旧とあるのは寛永寺から東京都に寄進されたためだそうです。 【豆知08】※東照宮(上野東照宮・重文) 上野東照宮は、寛永寺より少し前1927年に建造された徳川家康(東照大権現)を神様とする上野のお山の神社です。幕末の上野戦争、関東大震災そして東京大空襲などで焼失崩壊することなく江戸時代初期からの姿を今に伝えています。平成26年、5年に及ぶ修復が完成した金色殿(社殿)は金箔と黒漆仕立ての荘厳な姿は圧巻です。 【豆知09】※時の鐘 上野公園の噴水広場から上野広小路方向に桜並木を進むと上野精養軒近くに鐘楼があります。最初の鐘は1666年にできましたが、現在の鐘は天明7年(1787)のものです。今でも午前午後6時と正午に鐘が撞かれています。 【豆知10】※上野大仏 最初の大仏は寛永8年(1631)に造られ、その後、地震、火災により崩壊と再建を繰り返して、現在では顔の部分だけが大仏山パゴタ傍に保存されています。
■上野の観光スポット情報 ・所在地:〒110-0007 東京都台東区上野公園5−20 ・参考サイト - 都立上野恩賜公園案内図 - 東叡山寛永寺
3. 「上野駅」:この駅がみた明治・大正・昭和・平成
JR「上野駅」は、山手線、京浜東北、常磐線等の在来線、秋田・山形・上越・東北・北陸各新幹線など11路線が発着する北の玄関口です。一日平均21万人が利用する主要駅の一つです。
「上野駅」には5つの出入口(浅草口・入谷口・広小路口・不忍口・公園口)があります。
特に公園口(美術館、博物館、動物園、芸大等弾策に便利)と不忍口(アメヤ横丁、上野広小路散策に便利)の「利用が多いです。
駅内には「エキュート上野」、駅構内に「アトレ」があって買物やグルメな食事が楽しめます。
初代の上野駅舎は、1885(明18)年に竣工。関東大震災で消失してしばらく仮駅舎でしたが1932(昭7)年、2代目駅舎が完成。戦後、駅舎周辺には浮浪者や孤児が居つき、近くでは闇市も。
その後の高度経済成長期には農村部からの集団就職により上野駅に降り立った若者達の様々な思い出が刻まれた駅舎(浅草口)は今も名残を残しています。
関東の駅百選に選定された理由は「何時の時代にも故郷への郷愁をそそる首都圏の北の玄関口」でした。
■上野の観光スポット情報 ・所在地:〒110-0005 東京都台東区上野7丁目 ・公式サイト:JR上野駅構内図
4. 「上野動物園」:パンダが見られる日本で最初の動物園
上野動物園は、日本で最初の動物園(農商務省所管の博物館付属施設)として開園しました(1882年(明15))。
上野動物園へは上野駅公園口を出て信号を亘ると辿り着きます。東京文化会館と国立西洋美術館の間を直進すると噴水広場に出ます。
ここまで来ると、周りはベビーカーを押すファミリーや孫の手を引くジージやバーバが同じ方向を目指しています。「上野動物園」です。
上野動物園には、パンダ舎、ゾウの森、ゴリラ舎やサル山がある東園とキリン、サイ、シマウマなど草原の動物、両生爬虫類館そして「子供動物園すてっぷ」のある西園(不忍池に近く)があります。
「子供動物園すてっぷ」を目指すのであれば「弁天門」が近くて便利。比較的入り易いです。
■上野の観光スポット情報 ・所在地:〒110-0007 東京都台東区上野公園9−83 ・公式サイト: 上野動物園 ・開園時間:9:30~17:00 ・定休日:月曜日(祝日の場合はその翌日)/年末年始12/29~翌年1/1 ・入園料:一般600円/65歳以上300円/中学生200円(都内在住在学で無料)/小学生・障害者無料 ・駐車場:なし
5. 「東京国立博物館」:いつでも国宝、重文を観ることができます。ミュージアムショップも充実。
上野駅公園口を出て上野動物園方向に進むと動物園前交番、先右側に竹の台広場(噴水広場)。大噴水が出ているときは水しぶき越しに東京国立博物館(通称:東博)があります。
東博は1872(明5)年、文部省が湯島聖堂大成殿において最初の博覧会を開催したとき我が国最古の博物館として誕生、1882(明15)年に上野のお山に移転(寛永寺本坊跡地)して現在に至っています。
博物館正門を入ると中央に池を配した正面に本館(国宝、重文を含め豊富な展示品を大切に保存展示)、右側に東洋館、左手に表慶館(日本最古の本格的美術館)、その左奥に法隆寺宝物館、本館の左側奥に毎回人気の特別展が開かれる平成館を配し、本館の背面には本館一階テラスからも観ることができる庭園があり四季折々の花や紅葉を楽しめます(春・秋一般公開)。
東博には本館、東洋館と正門プラザにミュージアムショップがあり貴重な資料、来館記念やお土産が豊富です。
【豆知11】※メンバーズプレミアムパス(年間パス) 一般(学生)5,000円(3,000円)。特別展年間4回無料(1特別展1回限)。東京、京都、奈良、福岡の国立博物館の入館料が何回でも無料。
■上野の観光スポット情報 ・所在地:〒110-8712 東京都台東区上野公園13−9 ・公式サイト:東京国立博物館 ・入館時間:9:30~17:00(入館16:30まで) ※毎週金・土及び10/31・11/1(18:00まで) ※その他、入館時間が異なる場合がありますのでご確認ください。 ・休館日 - 毎週月曜日(祝休日の場合は開館、翌平日に休館) - 年末年始 12/26~翌年1/1 - ゴールデンウィーク・お盆期間(8/13~8/15)原則無休 ・料金:一般620円 大学生410円 ※特別展は別料金 ※障がい者と介護者1名無料(障がい者手帳提示) ※高校生、満18才未満、70才以上無料(年齢わかるもの提示) ・駐車場:なし
6. 「黒田記念館」:黒田清輝の代表作を真近で鑑賞(読書・舞妓・湖畔等)
東京国立博物館(東博)正門を出て塀沿いに右に進むと鳥取藩池田家江戸屋敷正門(東博内展示)。
この黒門を過ぎて最初の交差点を亘ると右にある建物が黒田記念館。
気になるカフェテラスをあとに館内に入る。ここは東博の別館ですが東博に入館しなくても無料です。
日本近代洋画の父と呼ばれた黒田清輝は、その遺言(遺産の一部を美術奨励事業に役立てること)により、1928(昭3)年、黒田記念館が建てられました。
平成に入り修復や耐震改修を行い、2015(平27)年リニューアルオープンしました(昭和初期の美術館建築として国指定有形文化財)。
黒田清輝(くろだせいき)は画名。本名は「きよてる」といい、本職(?)は政治家ですが、東京美術学校教授、帝国美術院院長を歴任しています。
記念館では期間限定ですが特別展として、代表作である(読書、舞妓、湖畔、智・感・情)を真近に鑑賞できます。
■上野の観光スポット情報 ・所在地:〒110-0007 東京都台東区上野公園13−9 東京国立博物館内 ・公式サイト: 黒田記念館 ・入館時間:9:30~17:00(入館16:30まで) ・休館日: 月曜日(祝休日の場合は翌火曜日休館)、年末年始 ※原則として、ゴールデンウィークとお盆(8/13~8/15)は無休 ・料金:無料 ・駐車場:なし
7. 「国立科学博物館」:子供と大人も自然科学を体感できるアミューズな博物館
上野駅公園口から上野動物園方向に進み国立西洋美術館の先を右に折れると、右側に国立科学博物館(英表記:National Museum of Nature and Science, Tokyo・通称:科博)があります。
英表記の示すとおり自然科学の博物館です。正面入口の先にある日本館や巨大なクジラの模型がシンボルです。
博物館としての起源は、1872(明5)年に遡りますが、低迷期を経て1930(昭5)年、上野本館(日本館)を建設して現在地に移転、1949(昭24)、現在の国立科学博物館となりました。
科博には、多くの子供たちが来館して広大な館内を自由に巡りながら恐竜骨格や珍しい昆虫など豊富な展示に出会い将来の夢を育んでいます。
付き添いの大人たちもシアター360の巨大な映像には一緒に感動すると思います。
■上野の観光スポット情報 ・所在地:〒110-8718 東京都台東区上野公園7−20 ・公式サイト: 国立科学博物館 ・開館時間 - 通常:9:00~17:00(閉館30分前まで可) - 金土:9:00~20:00(閉館30分前まで可) - ゴールデンウィーク:9:00~18:00(閉館30分前まで可) ・休館日: 月曜日(祝休日の場合は翌火曜日休館)、年末年始(12/28~翌年1/1) ・料金: 一般・大学生620円 高校生以下・障がい者・65才以上無料※証明提示 ※特別展は別途料金 ・駐車場:なし
8. 「国立西洋美術館」:建物は世界遺産。庭のロダン作品は撮影ポイント
国立西洋美術館(通称:西美)は、1959(昭34)年に設立されました。
印象派など19世紀から20世紀前半の多くの海外の絵画や彫刻を収蔵する美術館です。戦前、実業家松方幸次郎のコレクションが基になっています。
敗戦により敵国資産としてフランスに差し押さえられましたが国立西洋美術館の建設を条件に返還されました。
本館の設計はフランスのル・コルビュジェ。建設地は寛永寺の子院があった所。
2016(平28)年、我が国の国立西洋美術館を含む7カ国17資産が世界文化遺産に登録されています。
建物、所蔵品も素晴らしいのですが、正面入口を入った庭にはカレーの市民、考える人、地獄門等が展示されており格好の撮影スポットとなっています。
【豆知12】※日本人弟子の働き 基本設計はル・コルビュジェによるものですが、三人の日本人弟子(前川圀男、坂倉準三、吉阪隆正)が実施設計・監理に協力して完成しています。 なお、新館や西美向かいの東京文化会館は前川國男が設計しました。
■上野の観光スポット情報 ・所在地:〒110-0007 東京都台東区上野公園7−7 ・公式サイト: 国立西洋美術館 ・開館時間:常設9:30~17:30、金土9:30~20:00 ※時期等で異なります。 ・閉館日:毎週月曜日(祝日の場合はその翌日)、年末年始(12/28~1/1) ・入館料:一般500円・大学生250円 高校生以下・障がい者・65才以上無料(証明提示)※1毎月第2・第4土曜無料※2特別展は別途料金 ・駐車場:なし
9. 「東京芸術大学」:道路を挟み芸術学部と音楽学部。空気の違いを体感
東京芸術大学(通称:芸大)は、1949(昭24)年、旧制の東京美術学校(創立:1887(明20)年)と東京音楽学校(創立:1887(明20)年)が併合されてできた大学です。
旧制時代を含めると日本で最も歴史ある芸術系最高学府ということになります。
東京国立博物館を出て右に進み黒田記念館のカフェテラスを過ぎると左に芸術学部、道を挟んで向かい側に音楽学部の正門があります。
両学部共に正門左に守衛所がありますが止められたことはありません。芸術学部正門を入ると右手にあるモダンな芸大美術館ではときどき特別展が開かれています。
一方、音楽学部の正門を入ると木立や生け垣がキャンパスの小径をつくりその奥にコンサートホールがあって芸大生の発表会を聴くことができます。
日本を代表する芸大の芸術学部と音楽学部。それぞれ異なる空間を創りあげているようです。キャンパス内を散策して体感してください。
【豆知13】※前身は幼稚園児や小学生の音楽教育の教員を養成 東京音楽学校は、東京師範学校附属小学校(現筑波大付属小学校)や東京女子師範学校(現お茶の水女子大付属幼稚園)における音楽教育を担う教員養成を行っていた。 【豆知14】※東京音楽学校の旧校舎 上野公園の噴水広場から芸大方向に高木の間を抜けると右手の芝生広場に芸大生の作品が点在し左手には旧東京音楽学校奏楽堂を観ることができます。
■上野の観光スポット情報 ・所在地:〒110-8714 東京都台東区上野公園12−8 ・公式サイト:東京芸術大学
10. 西郷隆盛像:上野のお山の西郷さんで親しまれています。この西郷さんの前で様々な人生ドラマが・・・・
上野広小路から上野公園に上がる階段を上がりきると右手広場に西郷さんが犬を連れている姿の銅像が目に止まります。
除幕式に招かれた西郷夫人(糸子)は、「主人かこんなお人じゃなかったですよ」、「浴衣姿で散歩などしなかった」と語ったそうです。
確かに、西郷の写真がないことから製作にあたっては大変苦労したようです。
また、上野のお山に設置するまでにも大変な苦労があったようですが、大山巌(初代陸軍大臣、隆盛の従兄)、横山資紀(銅像建設委員長)など薩摩出身の政府高官達の尽力もあって1898(明治31)年に除幕式を迎えることができました。
以来100年を超えて人々に「上野(お山の)の西郷さん」として親しまれ、記念撮影、待ち合わせの人々。東京生活に疲れた人、故郷へ帰省する人など様々な人々が西郷さんの前に立ち、そして去っていきます。
【豆知15】※上野のお山の西郷さん像は3人が完成させた。 西郷さん(彫刻家高村光雲作)と薩摩健(愛犬ツン:彫刻家後藤貞行作)、鋳造(岡崎雪聲)という著名な作家によって完成しました。 【豆知16】※「上野戦争」に散った武士集団「彰義隊」と墓所 西郷隆盛像の背面に、上野寛永寺のほとんどが焼失した上野戦争で戦死した彰義隊の墓があります。 圧倒的な政府軍(官軍)の火力に1日を待たずに灰燼にきしたといわれ、彰義隊の亡骸は暫く放置されていたとのことです。 江戸城無血開城の陰にこんな悲しい「彰義隊」の物語があったのです。彰義隊のお墓には今でも献花される方が絶えません。
■上野の観光スポット情報 ・所在地:〒110-0007 東京都台東区上野公園 ・参考サイト:西郷隆盛像(wikipedia)
11. 「横山大観記念館」:横山大観の自宅軒先から庭を眺めると・・・・(史跡及び名勝)
日本画家横山大観を知らない日本人に会ったことが余りありません。
それほど有名な横山大観ですが、ここ上野界隈に自宅があることをご存じない方が多いことに喜びを感じて、ご自宅を案内することをささやかな楽しみにしております。
行き方としては上野公園から不忍池弁天堂を通りボート場のところを右に折れて大通り(不忍通り)に出たら左に折れて進むと道路の反対側に「横山大観記念館」の入口があります。
横山大観は1908(明41)年からこの地に住み始め、大正8年に大観自身がデザインした京風数寄屋造2階建の住いを完成させて自宅兼画室として終生住み続けたそうです。
(この自宅、東京大空襲で焼失しましたが、1954(昭29)年、ほぼ完璧に復元されています。)
1階には大観が名付けた客間(鉦鼓洞)から眺める庭園は大観作品の画題になっています。
また2階の画室では大観の境地になってみるのも面白いですね。
■上野の観光スポット情報 ・所在地:〒110-0008 東京都台東区池之端1丁目4−24 ・公式サイト: 横山大観記念館 ・開館時間:10:00~16:00(最終入館: 15:30まで) ・閉館日:毎週月~水(居間などに作品を展示して直接鑑賞していただく整備を行うためとのこと。その他閉館日あり。) ・入館料:大人800円 中高生・障がい者650円 小学生300円 ※年間パスポートあり ・駐車場:なし
12. 「下町風俗資料館」:下町の風情をスピード体感するならここが一番
ここ下町風俗資料館は、1980(昭55)年に建てられ台東区立の施設です。
弁天堂参道(入口)の手前を不忍池に沿って左に進むと公園出口傍に白壁に市松模様をアクセントにした建物です。
江戸東京における「下町」は山の手(武蔵野台地側)に対する言葉(表現)として日本橋、京橋、神田や入谷など海に近い地域を呼んだと思うのですが、江戸から明治、大正頃まであった「下町」の風情は、関東大震災、東京大空襲、戦後の高度経済成長によって殆ど失われたと思われます。
この失われつつある下町の風情(風俗)を残そうという気運の集大成がこの「下町風俗資料館」だといえます。
■上野の観光スポット情報 ・所在地:〒110-0007 東京都台東区上野公園2−1 ・公式サイト: 下町風俗資料館 ・開館時間: 9:30~16:30(閉館の30分前まで入館可) ・休館日: 月曜日(祝休日の場合は翌平日休館)、年末年始(12/29~翌年1/1) ・入館料: 一般300円、小中高生100円、障がい者・付き添い1名無料 ※毎週土曜は台東区在住・在学小中学生と引率者無料 ・駐車場:なし
13. 「旧岩崎邸庭園」:近代日本をけん引した豪商「三菱」の三代目(岩崎久彌)の館(重要文化財)。
東京駅丸の内口から皇居に向かう一帯、今も続く再開発。ここに我が国屈指の三菱グループの企業ビルが建ち並びます。
この三菱創業から三代目の岩崎久彌氏の邸宅が「旧岩崎邸庭園」(重文)として公開されています。
不忍池の畔にある横山大観邸からも近い高台にあります。かつて岩崎邸からは不忍池が眺められたのでしょう。
緩やかな坂道を登ると正面に洋風邸宅の玄関がかつての威容そのままに出迎えてくれます。
江戸時代に越後高田藩の中屋敷であった広大な敷地を初代岩崎弥太郎が買い取ったもの。現存する洋館や撞球室(ビリヤード室)はジョサイヤ・コンドルが設計建築しました。
これら洋館、大広間、撞球室は1961(昭33)年、国の重要文化財に指定されており、その内部の調度や装飾は当時の栄華をそのままに物語っています。
【豆知17】※周辺住民の避難所。また拉致監禁場所にもなった。 1923(大12)年の関東大震災では屋敷地が避難所として開放されました。また、敗戦後、米軍機関により左翼作家鹿地亘の拉致監禁場所となっています。
■上野の観光スポット情報 ・所在地:〒110-0008 東京都台東区池之端1丁目3−45 ・参考サイト: 旧岩崎邸庭園 ・開園時間: 9:00~17:00(16:30まで入園可) ・休園日: 年末年始(12/29~翌年1/1) ※その他、臨時休館日あり ・入園料 - 一般: 400円 - 65才以上: 200円 - 小学生以下、都内在住・在学中学生・障がい者とその付き添い: 無料 ・駐車場:なし
14. 「湯島天神」:合格祈願と映画「婦系図湯島の白梅」の関係
「湯島天神」の始まりは458年(西暦換算による)、雄略天皇の勅命により天之手力雄命(あめのたぢからをのみこと)という土地を守る神様を祀るようになりました。
1335(正平10)の周辺住民の請願により菅原道真公が合祀されましたが、これよりも遥か昔から祀られていました。
不忍池や上野広小路方面から天神下交差点にでて坂を少しあがると左手に湯島天神の急な階段があります。ここを上がると本殿の脇にでます。
本殿の向きや鳥居の位置からすると裏門(?)。正面右には境内に向かう男坂(登りがきつい)と女坂(優しい登り)があります。
現在、学問の神様である菅原道真公に合格祈願に参拝する人々は受験シーズンに限らず後をたたず、合格祈願の絵馬が膨大に重ねられています。
境内には梅園があって湯島の白梅を想起させます。
■上野の観光スポット情報 ・所在地:〒113-0034 東京都文京区湯島3丁目30−1 ・公式サイト: 湯島天神 ・開門時間:6:00~18:00(御朱印受付)8:30~17:30 ・駐車場:あり(有料)2カ所合計33台 ※詳細は公式サイトの駐車場案内でご確認ください。
15. 「アメヤ横丁(アメ横)」:敗戦後を生き抜いた下町パワーが溢れています。
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上野駅不忍口前(高架下)の横断歩道を亘ると高架線路の左側の通りに「アメヤ横丁」と書かれたアーチがあります。
ここから御徒町駅までの500メートル程の高架下と通り沿いに500軒ともいわれる店舗がひしめいています。
ここ「アメヤ横丁商店会連合会」は、戦後の砂糖不足に飴屋が多く出店して人気があったとか、米軍の放出品を売る店が多くあったからだとする説がありますが、終戦後の闇市時代を乗り越えて、今日まで「アメヤ横丁」とか「アメ横」の通称で賑わっています。
今では全国ネットでテレビ中継される年の瀬の風物詩となって一層賑わっています。
現在、かつての闇市時代に横行した偽物やレプリカ物を扱う店は払拭され、アフリカ系やアジア系の経営者の出店が目立ちますがアメ横商店会連合会に登録しています。
いまや「アメ横」は、国際化が進みワールドワイドな下町パワー漲る街への変貌を遂げたといえます。
■上野の観光スポット情報 ・所在地:〒110-0005 東京都台東区上野6丁目4−9−14 ・公式サイト:アメ横 ・駐車場:なし
16. 「上野鈴本演芸場」:160年続く笑いの殿堂
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上野駅不忍口を出て京成上野駅を右手に見ながら過ぎ、上野四丁目交差点を亘ると右側に笑いの殿堂「鈴本演芸場」があります。
上野鈴本演芸場は、幕末から明治を経て今日まで160年も続いています。1857(安政4)年に軍談席本牧亭を開きました。
安政の大獄という物騒な幕末期ではありましたが寄席の最盛期でもあったそうです。
明治になって町人に苗字が許され「鈴木」を名乗るようになり、本牧亭の本と合わせて「鈴本」その後に「鈴本演芸場」と寄席の名前を変えていったそうです。
鈴本演芸場では、月の番組を上席・中席・下席に分けてそれぞれ昼の部と夜の部の公演を行っています。
落語や色物を織り交ぜて約3時間。開演から暫くは若手が務めるのですが客の入りも疎らななかで高座を務める修行の場です。
それでもテレビやラジオでは味わうことのできない臨場感が良いです。それに食べて呑みながら大笑いできますのでいいですよね。基本的にすべて当日券ですから一番乗りしてはいかがですか。
■上野の観光スポット情報 ・所在地:〒110-0005 東京都台東区上野2丁目7−12 ・公式サイト: 上野鈴本演芸場 ・営業時間: 9:30~17:00 ・定休日: 年中無休(展示変更時に臨時休館あり) ・料金: 100円(一般)高校生以下無料 ・駐車場:なし
17. 「谷根千(やねせん)」へ抜けるゆっくり歩ける下り坂
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上野界隈の散策ということで、オマケに谷根千(谷中・根津・千駄木)への徒歩散策ルート(徒歩20分1.5㎞)をご紹介します。
上野界隈を散策してから谷根千に向かうよりも、日暮里駅からスタートして上野に向かうのが一般的だという方もいますが、本来は別々に散策するほうが理想的だと思います。
それでも谷根千を薦めるのはそのルート沿いが究極の下町だと思うからです。
上野公園の散策のあと東京芸大前をスタート。
最初の信号を直進して進むと右手に旧吉田屋酒店(無料)、暫く道なりに進むと道がくねっている蛇路(へびみち:その昔蛇のようにくねった川があってここを埋めたことに由来)を抜けると少し幅広の通りに入る。
この間、殆どの工程が緩やかな下り坂です。この辺りから下町商店街「谷中銀座」になっていきます。
谷中銀座には昔ながらの洋食屋、評判の「メンチカツを味わえる店。激安の惣菜弁当の店が昭和にタイムトリップしたように並んでいます。
商店街を抜けると「夕焼けだんだん」。この左右のお店も面白く谷中墓地入口前に並ぶ2店の甘味処はオススメです。
■上野の観光スポット情報 ・所在地:〒110-0001 東京都台東区谷中3丁目13−1(夕焼けだんだん) ・公式サイト: 谷中銀座商店街振興組合
上野周辺のおすすめ観光・散策スポット地図 (Googleマップ)
ご紹介した上野駅周辺のおすすめの観光・散策スポットを一つの地図(Googleマップ)でご紹介します。
上野駅周辺を観光・散策する時に、位置関係を把握してうまく巡るために活用して頂ければと思います。
>> すべての観光・散策スポットの場所を地図でチェック (別ページで地図を開く)
上野駅周辺のショッピング・買い物: 駅中・アメ横周辺などで買える洋服・ファッション品・お土産など
東京の上野駅周辺には、有名なアメ横の食材や洋服・ファッション雑貨の買い物店、古くからの歴史あるお菓子のお店や、駅ナカ・周辺の便利なショッピングモール・デパートなど目白押し。
こちらのページでは、東京・上野の普段の生活で便利なショッピング施設や買い物のお店、旅行でおすすめの上野のお土産について、実際に散策して回った体験をもとにご紹介しています。
>> 上野駅周辺のショッピング・買い物の施設・お店を紹介:駅ナカ・アメ横周辺などで買える洋服・ファッション雑貨・お土産など
上野のおすすめグルメ・食事とお店/食べ物屋: 日本・アジア・洋食などをランチやディナーで
東京「上野」の街にあるグルメなお店、美味しいものを手軽にランチできるお店、昼呑みチョイ呑みができる店を探ってみました。
今更ですが東京・上野は、山の手や下町、東京や地方、アジア中東系も欧米系も全てを受け入れて「食」がある街だと思います。
こちらのページでは、昭和レトロな雰囲気を共有する不思議な感覚に浸りながら、昼も夜もひたすら歩いてみたグルメスポットを紹介しています。
>> 上野のおすすめグルメ・食事とお店/食べ物屋を紹介: 日本・アジア・洋食などをランチやディナーで楽しめる場所
あとがき
大都会である上野界隈は、思った以上に奥が深くて、今回の散策だけでは残念ながら語り尽すことができませんでした。
しかし、僅かながら新しい発見もあって遺跡を発掘する探検隊のような感覚も味わえたようで嬉しくもありました。
徳川幕府全盛の江戸時代、徳川家の権勢を象徴するように造営された東叡山寛永寺。
その広大な寺領のほとんどが明治維新後の文化芸術の杜に生まれ変わり輝きを取り戻しています。
この時代の流れの中、上野のお山を支えてきたのが下町であり、そこに住む人々だったことを強く感じることができました。
次の機会には上野界隈を味わいながら散策したいと思っています。
それでは何処の旅先でお会いしましょう。ご機嫌よう。