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シンガポールの学費が高騰!2024年からの最新の教育費を在住歴12年の筆者が解説

シンガポールの教育費高騰 2024年最新 シンガポール旅行・観光

著しい経済成長など、シンガポールの成功は、シンガポール国民の能力の高さと、それを的確に成功へと導いた政府の手腕によってもたらされました。

その中でも教育は、シンガポールが唯一有している「人的資本」を活かすことにおいて最重要な要素で、シンガポールの成功においては、極めて重要な役割を果たしてきました。国家予算においても、全体の支出の約20%を占め、2番目になっています。

そのため、教育への需要が高まり、必然的に教育にかかる費用も上昇し、それがシンガポールの生活費の上昇にもつながっています。

2002年から2022年までの20年間で、教育費は 75.7%も増加しました。
2022年の教育インフレ率は2.1%を記録し、2023年には4%も上昇しています。
また、シンガポールのこの20年間の平均の教育インフレ率は、年間で2.86% でした。

そして、先日教育省から、2024年から2026年までの今後3年間で、毎年、シンガポール国民以外の学費の値上げが行われると発表されました。
この記事では最新のシンガポールの学費高騰ニュース、教育費の一覧やシンガポールの「エリート政策」についてご紹介します。

シンガポールの学費高騰のニュース

2023年10月18日に教育省から発表された内容は以下になります。

2024年から2026年までの今後3年間で、シンガポール国民以外(永住者も含む)が公立学校を利用する場合の学費の値上げが行われます。

月々の学費は、以下の通りに毎年値上げされます。

永住者の場合の学費

  • 小学校:
    毎年25シンガポールドルずつ値上げして、2026年には330 Sドル(約36,000円)に
  • 中学校:
    毎年60シンガポールドルずつ値上げして、2026年には680 Sドル(約74,000円)に
  • 高校:
    毎年60シンガポールドルずつ値上げして、2026年には760 Sドル(約83,000円)に

留学生の場合(アセアン区域から)

  • 小学校:
    毎年25シンガポールドルずつ値上げして、2026年には595 Sドル(約65,000円)に
  • 中学校:
    毎年60シンガポールドルずつ値上げして、2026年には1,090 Sドル(約119,000円)に
  • 高校:
    毎年60シンガポールドルずつ値上げして、2026年には1,290 Sドル(約141,000円)に

留学生の場合(アセアン以外から)

  • 小学校:
    毎年50シンガポールドルずつ値上げして、2026年には1,035 Sドル(約113,000円)に
  • 中学校:
    毎年140シンガポールドルずつ値上げして、2026年には2,190 Sドル(約239,000円)に
  • 高校:
    毎年140シンガポールドルずつ値上げして、2026年には2,540 Sドル(約277,000円)に

なお、シンガポール人学生の学費は据え置きが決定しています。

シンガポールの学費・教育費一覧

学校学費補足情報
幼稚園・国民160 Sドル
・永住者320 Sドル
日本人幼稚園の場合
・入園料1,200 Sドル(約13.1万円)
・諸経費160 Sドル(約1.7万円)
・保証金1,500 Sドル(約16.4万円)
・保育料1,550 Sドル(約16.4万円)
※上記金額にGST(消費税)がかかります。
小学校・国民は無償
・永住者255 Sドル
・アセアン区域民515 Sドル
・アセアン以外875 Sドル
日本人学校の場合
・入学金1,080 Sドル(約11.8万円)
・施設費2,700 Sドル(約29.5万円)
・授業料567 Sドル(約6.2万円)
・施設費140.4 Sドル(約1.5万円)
※上記は日本人会会員の場合の費用で、非会員の場合には金額が違います。(やや高額)
中学校・国民は5~25 Sドル
(学校によって異なる)
・永住者500 Sドル
・アセアン区域民900 Sドル
・アセアン以外1,750 Sドル
日本人中学校の場合
・入学金、施設費は小学校と同じ(小学校から神学の場合も必要)
・授業料642.6Sドル(約7万円)
・施設費140.4Sドル(約1.5万円)
※小学校同様に、非日本人会会員の場合には割高になります。
高校・国民は6~50 Sドル
(学校によって異なる)
・永住者580 Sドル
・アセアン区域民1,100 Sドル
・アセアン以外2,100 Sドル
シンガポールには早稲田大学系属の「早稲田渋谷シンガポール校があります。
・入学金5,940 Sドル(約65万円)
・施設費3,337.2 Sドル(約36.4万円)
・授業料23,776.2 Sドル(約260万円)
・生徒会費120 Sドル(約1.3万円)
・教材費2,250 Sドル(約24.6万円)
※入学金以外は年額です。
大学・シンガポール国立大学 (NUS):
 8,250~9,650 Sドル
・南洋理工大学 (NTU):
 8,250~9,450 Sドル
※紹介したように、シンガポールの公立の大学へ行く場合には、多額の費用がかかり、来年から高騰していきます。
インターナショナル
スクール
学校によって大差がある
・小学校:500~20,000 Sドル
・中等学校:最低21,000 Sドル以上
「ダルウィッチカレッジ」がシンガポールで最も授業料が高いインターナショナルスクール:
 毎年最低でも 36,938 Sドル

※インターナショナルスクールは、基本的にシンガポール国民とそれ以外で費用が異なることはありません。

シンガポールの徹底したエリート政策

シンガポールの徹底したエリート政策

シンガポールでは幼少期から、熾烈で、徹底した競争がはじまります。
シンガポールは、日本ではありえないほどの厳しい競争社会なのです。

なぜ、それほど激烈な競争社会なのか?
それは、シンガポールという国の成り立ちや環境に要因があります。

エリート政策

シンガポールは、1965年に、当時属していたマラヤ連邦(現マレーシア)から追い出される形で分離独立します。
何もない状態だったシンガポールは、建国の父で、初代首相を務め、20世紀最大の政治家と言われるリー・クアンユー氏の「シンガポールの最大、唯一の強みは人材」という考えのもと、国を作っていく優秀な指導者や官僚、管理職の確保を教育のゴールとして、徹底したエリート政策を実施していきます。

彼は教育部門で、2つの重点政策を推し進めていきます。

「能力主義」

初等学校(日本の小学校に当たります)の卒業試験(PSLEと呼ばれます)の結果により、選択できる中等学校(日本の中学校に当たります)のコースが決定します。
PSLEの結果が不合格の場合、留年してしまい、そのまま学校教育を終える人も少なからずいます。毎年約2%ほどの生徒が留年しています。
シンガポールでは、初等学校の6年間(6歳から12歳まで)のみが義務教育で、中等学校(12歳から16あるいは18歳まで)は義務教育ではありません。

このPSLEの結果が、実際には大学までの進学先を決定してしまうほど、重要な試験なのです。
そのため、学校教育だけでは、これほど熾烈な生き残り競争で勝ち残れないため、早くから「Tuition」と呼ばれる、いわゆる塾に通うのです。

「二言語主義」

学生は、第一言語は英語、第二言語として自身の母国語(中国語やマレー語)として学ぶことを義務化しています。そのため、授業は公用語である英語で行われます。
そのため、国民は英語を話すことができ、世界で活躍できます。

教育熱心な国民性と環境

シンガポールは、中華系の家庭を中心に非常に教育熱心な家庭が多く、教育レベルが高いです。
また、国が教育に力を入れており、紹介したように、実に国家予算の約20%をかけています。
また、東京23区と同じくらいの国土に、インター校が20校以上もあり、世界の有名な学校がシンガポールに進出しています。


シンガポール現地の物価/上昇率・旅行費用についてはこちらもご確認下さい。