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【プレアヴィヒア寺院】遺跡から眺める景色は絶景!山の上にある世界遺産

【プレアヴィヒア寺院】遺跡から眺める景色は絶景!山の上にある世界遺産カンボジアの遺跡・世界遺産

プレアヴィヒア寺院は、カンボジアで2番目に世界遺産にも登録された遺跡です。山の上に建てられた寺院で、遺跡の他にも、山の上から見る景色もすてきな観光スポットです。「天空の遺跡」と呼ばれることもあります。一方で、タイとの国境にあるため、一時紛争が勃発したこともありました。今回は、そんなプレアヴィヒア寺院の行き方、見どころ、治安などについてご紹介していきます。

プレアヴィヒア寺院の歴史・場所

プレアヴィヒア寺院

プレアヴィヒア寺院は、ダンレック山に建っています。「プレアヴィヒア」とは、クメール語(カンボジア語)で、「神聖な寺院」を意味しています。タイでは、プラーサート・プラウィハーンと呼ばれており、こちらもタイ語で「神聖な寺院」を意味しています。

アンコール遺跡群の多くが、東西を軸にしており、東が正面になるようにつくられていますが、プレアヴィヒア寺院は異なります。寺院があるダンレック山は北側に斜面があり、それを利用して南北に建物が建てられました。南側には中央祠堂と断崖があり、北側にはタイとの国境があります。

プレアヴィヒア寺院は、9世紀末ごろに、ヤショーヴァルマン1世によって建てられました。ヤショーヴァルマン1世は、アンコールの地域に、首都ヤショーダラプラを建てた優秀な王の一人です。
はじめは、ヒンドゥー教の寺院として建てられましたが、11世紀前半にはスーリヤヴァルマン1世が、そして12世紀前半にはスーリヤヴァルマン2世が大きな増改築を行いました。そのため、現在遺跡と残っているもののほとんどが12~13世紀に建てられたものです。

タイとの関係・紛争

プレアヴィヒア寺院におけるカンボジアとタイの紛争・事件

カンボジアとタイとの関係性が悪くなったのは、プレアヴィヒア寺院がきっかけではありません。古くから二国間での紛争はあり、アンコール王朝を滅ぼしたのもタイでした。アンコール王朝滅亡後、カンボジア王国が誕生します。しかし15世紀以降は、シャム王国(タイ)に領土を奪われていったり、18世紀後半にはシャムとベトナムからカンボジア王国は攻撃をうけることとなります。その後、カンボジアは、当時アジア進出をしていたフランスに支援を求め、フランスの植民地となりました。フランス植民地時代には、タイから攻撃を受けることはありませんでした。

プレアヴィヒア寺院については、第二次世界大戦後、タイが警備兵を配置して支配をしているような状態でした。しかし、カンボジアが国際司法裁判所にプレアヴィヒア寺院の領土権について提訴をしました。その結果、1962年にはカンボジア側の主権が認められています。

2008年7月、プレアヴィヒア寺院がカンボジアの世界遺産として登録されました。そのときにタイ国内の政治団体や市民団体が大きな反発を起こしました。カンボジアの世界遺産として登録されたことを受け入れたタイの当時の外務大臣が辞任に追い込まれるほど、タイの世論は荒れました。こうした背景を受け、カンボジアとタイはプレアヴィヒア寺院周辺に両国の軍をそれぞれ配置しました。そして、遺跡を挟んで銃撃戦が行われてしまいました。

プレアヴィヒア寺院の遺跡

銃撃戦により死傷者が出たり、遺跡に銃弾が当たってしまったり、最悪な事態を招いてしまいました。2011年には国際司法裁判所から両軍撤退するように指示があり、停戦のような状態となりました。2013年11月、カンボジアの提訴を受けた国際司法裁判所は、プレアヴィヒア寺院とその周辺の土地もカンボジアに帰属すると判断し、それ以降領有権をめぐった紛争は起こっていません。

プレアヴィヒア寺院への行き方・観光手段・入場料

プレアヴィヒア寺院の行き方や観光手段・所要時間、入場料などについてご紹介していきます。

プレアヴィヒア寺院への行き方

プレアヴィヒア寺院への行き方:四輪駆動車

プレアヴィヒア寺院のあるダンレック山までは、シェムリアップから車で約3~4時間ほどかかります。
遺跡のある山頂までは急斜面のため、普通車やトゥクトゥクで移動することができません。そのため、ダンレック山の麓で、四輪駆動の車、またはバイクタクシーに乗り換える必要があります。

バイクタクシーの場合、往復で1人あたり5US$です。四輪駆動の車(6名乗り)の場合、往復で1台あたり25US$です。

プレアヴィヒア寺院の山頂までの景色

山頂までにいく道のりからも、すてきな景色を楽しむことができます。移動中は四輪駆動の車でも揺れるので、カメラを構えるときには、しっかり落とさないようにしましょう。

観光手段・ツアー

プレアヴィヒア寺院の観光には、ツアーでの参加がおすすめです。車でも3~4時間ほど移動に時間がかかるので、トゥクトゥクやバイクタクシーでの移動はかなり厳しいものとなります。ドライバーさんもプレアヴィヒア寺院までの移動は受け付けない可能性が高いです。

ツアーの相場は、プレアヴィヒア寺院1か所のみであれば、約100US$~で参加することができます。
プレアヴィヒア寺院は遠方遺跡ということもあり、他の遺跡と組み合わせたツアーも多いです。

ツアー先料金
プレアヴィヒア寺院 + コーケー遺跡 + ベンメリア約200US$~
プレアヴィヒア寺院 + コーケー遺跡約160US$~
プレアヴィヒア寺院 + ベンメリア約160US$~

入場料・パスポートの提示

プレアヴィヒア寺院の入口・入場料

プレアヴィヒア寺院は、アンコールパスでは入場できない遺跡です。プレアヴィヒア寺院近くのチケット売り場で入場料を支払います。入場料は10US$です。
また、以前は入場料を支払う際にパスポートの提示も必要でした。タイ人の密入国を防ぐ目的がありました。今はパスポートの提示は不要ですが、念のためパスポートのコピーやスマホにパスポートの写真を入れておくと安心です。

プレアヴィヒア寺院の見どころ・観光スポット

プレアヴィヒア寺院の観光・見どころ

プレアヴィヒア寺院の観光には約1時間30分ほどかかります。観光の見どころについてご紹介していきます。

ナーガ

プレアヴィヒア寺院のナーガ

プレアヴィヒア寺院でも、ナーガ(蛇の神)を確認することができます。プレアヴィヒア寺院の場合は、階段の欄干で見ることができます。

第一塔門

プレアヴィヒア寺院の第一塔門

階段を上ると見えてくるのが第一塔門です。第一塔門は、旧2,000リエル紙幣にも描かれていました。第一塔門からちらりと見える、カンボジアの国旗もまた素敵です。

修復中の第一塔門

ちなみに現在は修復の関係で、このように串刺しのような状態となっています。遺跡の劣化は仕方のないことですが、少し切なくも感じます。

貯水池

プレアヴィヒア寺院の貯水池

貯水池は、第二塔門に行く途中に見ることができます。まわりには木が生い茂っており、とても豊かに感じられます。当時は生活のために、この貯水池の水が使われていたそうです。山の上での生活では、欠かせない池でした。

乳海攪拌(にゅうかいかくはん)

プレアヴィヒア寺院の乳海攪拌(にゅうかいかくはん)

第二塔門では、乳海攪拌のレリーフを確認することができます。神亀クマールを軸に、大蛇ヴァースキを引っ張りあっています。プレアヴィヒア寺院の乳海攪拌では、象の彫刻も確認することができます。

乳海攪拌の象の彫刻とヴィシュヌ神

そして、乳海攪拌のレリーフの下には、大蛇アンタナの上に横になるヴィシュヌ神を確認することができます。ヴィシュヌ神のおへそから生えた蓮の花の上では、ブラフマー神が瞑想しています。

ナンディー

プレアヴィヒア寺院・第三塔門のレリーフ

第三塔門には、緻密で繊細なレリーフが残っています。こちらは、聖牛ナンディーに乗った、シヴァ神です。その下の彫刻では、インドラ神が彫られています。

聖牛ナンディーにのったシヴァ神と、妻ウマーのレリーフ

さらに奥に進むと、聖牛ナンディーにのったシヴァ神と、妻ウマーのレリーフが確認できます。表門と内部にはどちらも聖牛ナンディーとシヴァ神が彫られていますが、モチーフが異なり面白いです。

中央祠堂

プレアヴィヒア寺院の中央祠堂

プレアヴィヒア寺院の遺跡の中には、屋根の残っている通路もあります。このあたりの祭壇では、オレンジの袈裟を着たお坊さんに会うこともあり、改めて神聖な場所なんだなと感じることができます。

山頂からの景色

プレアヴィヒア寺院・山頂からの絶景

中東祠堂の裏側から、山頂からの絶景を眺めることができます!天空の遺跡と呼ばれるにふさわしい景色です。断崖絶壁ではありますが、柵はないので、観光や写真撮影の際には充分に気をつけましょう。最近では、景観を損なわないための安全策として、ロープがはられています。

観光時の注意点・準備

プレアヴィヒア寺院観光の際の、注意や気になる点についてご紹介していきます。

気候と服装について

プレアヴィヒア・山頂

山の上では、気温や天気が心配です。気温については、カンボジアで気温の下がる12月や1月であっても、プレアヴィヒア寺院観光時には、半袖で過ごすことができます。階段を登ったり、多く歩くので、下は動きやすいスニーカーや運動靴がおすすめです。山の上だからといって、トレッキングシューズの準備は不要です。

天気については、雨季(6~10月)の時期は注意が必要です。雨が降りやすく、天候の変化も起こりやすいです。この時期に観光する場合には、レインコートやポンチョがあると安心です。また、9月10月は大雨による災害が起こりやすい時期です。少しでも危険を感じたら、ツアーへの参加をひかえることをおすすめします。プレアヴィヒア寺院に向かう道中で道がぬかるんでいたり、足止めをくらってしまう可能性があるからです。ツアー参加であれば、そのあたりは催行会社が判断してくれるのでよっぽど問題ないかと思いますが、そういった可能性があることも把握しておくといいでしょう。

地雷

プレアヴィヒアの地雷

タイとの紛争が気になる、プレアヴィヒア寺院ですが、実は地雷が残っている遺跡の1つでもあります。国境付近ということもあり、多くの地雷が埋められている可能性が高いです。紛争に地雷と聞くと、観光は危険と感じるかもしれません。でも、主要の観光エリアは地雷の撤去が完了しています。ガイドさんから指示がない道を通ってみたり、このような「Danger Mines!」の看板の内側に入らないように注意しましょう。ガイドさんの案内に従っていれば、安全に観光ができます。

治安状況

2013年に国際司法裁判所が、プレアヴィヒア寺院とその周辺の土地もカンボジアに帰属すると判断されてからは、カンボジアとタイの間で紛争は起こっていません。プレアヴィヒア寺院の観光も、他の遺跡と同じように観光することができます。ただ遺跡内には、国境警備の目的で、カンボジア軍が配置されています。銃を持ったカンボジア軍を見ると、少し驚くかもしれませんが、通常通り観光はできます。

プレアヴィヒア寺院の周辺情報

昼食については、ツアーで参加した場合、ほとんどのプランにお弁当がついています。プレアヴィヒア寺院でお弁当を食べることはできないので、道中にある売店などで休憩しながら、その場でお弁当を食べることが多いです。

お手洗いについては、山頂にはありません。四輪駆動の車やバイクに乗り換える山の麓にあるお手洗いが最寄りになります。ですが、桶で水を汲んで流す式のトイレなので、抵抗がある方が多いかと思います。個人的には昼休憩で立ち寄る、売店などでお手洗いを済ませたほうがおすすめです。

まとめ

タイとの紛争があった過去を聞くと、プレアヴィヒア寺院は危ないと感じるかもしれません。でも、ガイドさんの指示に従い、正しく観光をすれば、安全に楽しむことができます。世界遺産にも登録されているだけあって、見ごたえはたっぷりです。ぜひ、一度訪れることをおすすめします!


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