オランダは世界的に有名な自転車大国として知られており、自転車は日常生活の一部として広く普及しています。自転車はオランダ人の交通手段にとって欠かせないものです。
そのため、道路や都市も自転車が走りやすい設備になっています。そんな自転車大国のオランダの自転車事情について詳しく見ていきます。
オランダの自転車の歴史
オランダの自転車文化は長い歴史を持っています。19世紀末から20世紀初頭にかけて、自転車の普及が始まりました。当時、馬車が主要な交通手段であったため、自転車は都市部での移動手段として便利な代替手段となりました。自転車は比較的安価で手に入れやすく、また道路の整備も進んでいたため、多くの人々が自転車を利用するようになりました。
また、オランダの地形はとてもフラットで山がないため、自転車を利用するのにとても適した環境であることがいえます。
オランダの自転車専用道路
オランダは自転車に適したインフラストラクチャーを整備しています。自転車専用の道路やレーン、信号機などが整備されており、自転車利用者の安全を確保しています。さらに、自転車駐車場や自転車専用の橋やトンネルなど、自転車利用を便利にする施設も充実しています。これらのインフラストラクチャーが整備されていることで、オランダでは自転車を利用することが一般的な文化となっています。自転車道の広さは約1mほどになっており、道路によって左右で方向が別れていたりするところもあれば、一つの自転車道に
オランダには車道、歩道に加えて自転車道が設備されているため、オランダで車に乗っているとたくさんの自転車とすれ違うことがあるため時々危ないように感じることがあります。特に、住宅街は道幅が全体的にとても狭いので運転をする時には周りの状況を十分に気をつける必要があると思います。
オランダの自転車事情
雨の日でも自転車に乗る
自転車大国のオランダですが、オランダの自転車文化の特徴の一つは、雨の日、風の日、雪の日でも自転車を利用し続けることです。オランダは天気が憂鬱な日や雨の日が連続することが多い国ですが、それでも多くの人々が自転車を愛用しています。
日本では比較的に雨の日はあまり自転車を利用しなかったり、カッパを来たりするなどできるだけ雨に打たれないように対策をすることが普通だと思います。しかし、オランダでは、オランダ人はカッパを着ている人は全体の5割くらいで残りの人は何も羽織っていなかったり、フードを被ったりして自転車を利用している人が多いです。また、歩行者のオランダ人でも雨が降っても傘をささない人がほとんどなので自転車に乗っている時も気にしない人が多いことがわかります。
オランダ人になぜ傘をささないのか理由を聞いてみると、オランダ人は濡れていても気にすることはないなど、濡れたら濡れた時で家に帰って着替えればいいなどポジティブな回答で答えてくれました。
鍵の種類
オランダでは自転車の鍵の種類にはさまざまなオプションがあります。
Uロック
U字型の鍵で、自転車のフレームや車輪と固定物を結びつけるために使用されます。非常に頑丈で、自転車泥棒からの防御に優れています。
ケーブルロック
ケーブル状の鍵で、車輪やサドルを固定するために使用されます。Uロックと組み合わせて使用することが一般的です。これらの自転車はリングロックとケーブルロックの両方を組み合わせて使用しています。
チェーンロック
鉄鎖でできたロックで、自転車のフレームや車輪を固定するのに適しています。長さや厚みにバリエーションがあり、高いセキュリティが求められる場合に利用されます。
リングロック
リングロックとは一般的にほとんどの自転車についている輪っかを作って鍵を抜いて止める鍵になります。この鍵は日本でも頻繁に利用されることの多い鍵です。
自転車のリアホイールに取り付けられるタイプのロックで、自転車を駐輪する際に一般的に使用されます。
自転車の駐輪場
オランダの市街地や駅周辺には自転車駐車場が設備してあり、そこにはいつも数えきれないほどの自転車が駐車してあります。寮の自転車駐車場には屋根がついており、そこには自転車が2台積みになって駐車されています。
街に駐車されている自転車の数が多すぎて、自転車駐車場なのかわからないことがあります。しかし、自転車駐車場は一般的には駐車券が必要で販売機で購入をするか、アプリを使用して払うことができるそうです。しかし、写真のように私の住んでいるユトレヒトではオランダは運河沿いにものすごい数の自転車が止められているのをよく見かけます。
そもそもなぜ、オランダで自転車が多くなったのか?
オランダでの自転車の利用が多くなった背景には歴史的、地理的、社会的要因が関係していることがあります。
地理的要因
まず、オランダの地形に関することです。オランダの地形はとても平坦であるためほどんどの地域で坂が存在しません。ですので、自転車を利用するにはベストな地形であることから自転車の利用が多くなったと思われます。
短い距離の都市構造
オランダの国は大体に日本でいう九州の大きさくらいと言われいるほど小さな国です。また、オランダの各都市は比較的小規模であるため、自転車を使って都内を移動することが一般的で効率的でした。ですから、多くのオランダ人は通勤、買い物、通学など日常的に自転車を活用することが多いのです。
自転車基盤の設備
冒頭でも説明した通り、オランダはには自転車専用の道路が設備されています。
首都のアムステルダムから電車で30分ほどにあるユトレヒトという街にはレインボー・クロッシング(Rainbow Crossing)を呼ばれているLGBTQコミュニティーの支持や認識を示すために設計された自転車道路があります。ユトレヒトに来た時にはユニークな自転車道路を見に来てみてはいかがでしょうか?
ユトレヒトの街について詳しく説明している記事もあるのでこちらもご参照ください!
オランダの基本的な自転車のルール・法律
右折左折時のルール/信号
自転車は車道を通行するため、車両と同じ交通ルールが適用されます。右折時には、右側に信号を出し、左折時には左側に信号を出します。信号を出す時には手を使って方向を知らせます。手を行きたい方向に平行に伸ばして行います。
このような自転車の乗り方は幼い時に学校で習うそうです。
ライトの灯火が法律義務
自転車には前照灯(ヘッドライト)と尾灯(テールライト)が必要です。これらの灯火を暗い夜間や悪天候時に点灯させることが法律で義務付けられています。
二人乗りが可能・子供にはヘルメット
一般的に、オランダでは大人同士の二人乗りは許可されています。ただし、子供を自転車の後部座席に乗せる際には、ヘルメットを着用することが推奨されています。日本では一般的に危ない行為、禁止されていることがあるため、オランダでは頻繁に二人乗りを見かけることがあるので新鮮です。
違反時の罰金の有無
自転車で交通ルールに違反した場合、警察によって罰金が科されることがあります。違反内容によって罰金の額が異なります。
飲酒運転には罰金も
自転車を運転する際にアルコールを摂取している場合でも、オランダでは飲酒運転罪が適用されます。飲酒運転には罰金が科される可能性があります。
自転車に免許制度は無い
オランダでは自転車を運転するための免許は必要ありません。自転車は誰でも自由に利用できます。
盗難が頻繁にある
自転車の盗難は比較的一般的で、自転車を所有する際には十分な注意が必要です。自転車の盗難を防ぐために、信頼性のある鍵や鍵のかかる駐輪場を使用することがおすすめです。盗難時には警察に被害を報告することが重要です。オランダは自転車大国である国ですが、自転車の盗難の報告は頻繁にあるそうなので、しっかりと鍵をかけて対策をすることが求められます。
オランダで自転車事故は多いのか?
オランダではよく自転車事故が発生することがあります。自転車事故で多いケースは自転車同士の衝突、信号無視、交差点などでの接触、路面の滑りなどがあります。オランダで自転車に乗っている人はものすごいスピードで走っている人もいるので危ないことがよくあります。
また、都市部に近づけば近づくほど自転車の利用者も多くなっているため、事故が多発する可能性が高いことがわかります。また、一番危ないのが信号無視です。オランダでは歩行者の信号無視や信号ではないところでの横断が頻繁に見られます。そのため、トラム(路面電車みたいな乗り物)やバスに乗っているとよく信号無視や無断横断している歩行者や自転車にクラクションが鳴らされていることがあります。
オランダの自転車の種類
オランダの自転車の種類はさまざまで街を歩いていると、変わった自転車を見かけることがあります。
オマモビル (Omafiets)
オランダの代表的な自転車の一つで、別名Grandma bike(おばあちゃんの自転車)とも呼ばれています。この自転車は高めのシートと斜めに湾曲したフレームを備えているため、乗り降りが簡単にすることができます。通常は、前かごやキャリアがついているので、買い物の時に荷物を入れることができるので便利です。日本の自転車は前かごがついているものが一般的ですが、オランダでよく見かける自転車は前かごのないコンパクトな自転車です。
ママフェッツ(Mamafiets)
ママフェッツとは移動が簡単な自転車として知られている通称ママチャリです。この自転車は後部または前部にチャイルドシートが取り付けられた自転車です。オランダではよく子供を後部または前部に乗せて運転している親子を見かけることがあります。日本では見かける頻度は減りましたが、オランダでは定期的に見かけることがあるので新鮮です。
バクフィーツ(Bakfiets)
バクフィーツとはオランダ語で箱の自転車という意味をもち、自転車の前部に大きな箱がついている自転車になります。これは荷物や子どもを乗せるための箱で、オランダではよく家族の移動手段として人気があるそうです。私もオランダでこの自転車を見た時はびっくりしました。これは、自転車とベビーカーを合体したような日本では見ることのできない自転車で面白いと思いました。さすが、自転車大国のオランダは自転車の種類がとても多いですね。
スポーツ自転車(sportsfiets)
オランダではよくサイクリングをしている人をよく見かけることがありますが、その時に乗っているロードバイクやマウンテンバイクなどがスポーツ自転車になります。
電動自転車(E-bike)
電動自転車はその名の通り、電気で動く自転車です。オランダにおける自転車のうち、約4分の1が電動自転車となっており、その自転車の利用率は急速に増加しているそうです。
オランダでは子どもからお年寄りまで幅広い年代の方が自転車を利用しています。オランダに来てびっくりしたことは、年配の方も元気に自転車を漕いでいることです。
オランダはみんながエネルギッシュでとてもいい国だと思います。
自転車のブレーキの種類
オランダの自転車には一般的に2種類のブレーキのタイプが備えられています。
ハンドブレーキ(手動ブレーキ)
まずは一般的な手動ブレーキです。自転車の手元にある一般的なブレーキレバーになっており、そこを引くことで自転車のブレーキを効かせることができます。
コースターブレーキ(後輪ブレーキ)
日本ではあまり見られないブレーキかと思いますが、後輪ブレーキとは自転車のペダルを足で逆に漕ぐことで作用するブレーキになります。オランダの多くの一般的に市民用自転車にはこのようなタイプのブレーキがあるらしいです。
現地で有名・人気の自転車メーカー
ガゼル(Gazelle)
ガゼルはオランダ発祥の自転車メーカーで、1862年に創業されました。ガゼルの自転車は高品質で、特にクラシックなデザインと快適な乗り心地で知られています。オランダ国内外で多くの人々に愛用されています。
■公式サイト:Gazelle
バットゥス(Batavus)
バットゥスはオランダの自転車メーカーで、1904年に創業されました。バットゥスの自転車は耐久性が高く、多くの異なるタイプやスタイルが提供されています。都市用自転車から電動自転車まで幅広い製品があります。
■公式サイト:Batavus
ブロンプトン(Brompton)
ブロンプトンは、折りたたみ自転車の専門メーカーとして知られています。その折りたたみ自転車はコンパクトで持ち運びが容易で、多くの人々に利用されています。
■公式サイト:Brompton
オランダの自転車レンタルサービス
オランダでは自転車のレンタルサービスが広く提供されており、観光客、地元住民、留学生などに利用されています。
価格は自転車レンタルの価格は自転車の種類によって異なりますが、私が大学から提供されたところでは1ヶ月で20ユーロでした。キャンセルはいつでもできるので乗らなくなったら元のところに返すことができるので便利だと思います。サイズは自分で選ぶことができますが、比較的オランダの自転車は高くとても大きいです。
🌟オランダ人は使わなくなった自転車を運河に捨てる!?
日本ではありえないことだと思われますが、オランダの首都のアムステルダムでは使わなくなった自転車を運河に捨てることが頻繁にあります。また、使われなくなった自転車が道路や駐車場に放置されることも一般的であるそうです。
私はオランダで一度も自転車を捨てている現場を目撃したことはありませんが、オランダの文化の象徴である運河に何台もの自転車が捨てられていることはとても悲しいことだと感じます。
いかがでしたか?
オランダの自転車事情についてよく分かったのではないでしょうか?
オランダ人の雨事情については日本人からすると理解しがたいこともあると思いますが、そこがとても面白く、ユニークな国であることがわかりました。オランダに訪れる際にはぜひ自転車を活用してみてオランダの文化を体験してみてはいかがでしょうか?
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