南アフリカ共和国はアフリカ大陸の最南端に位置した国です。南アフリカにはアフリカ先住民族をはじめ、アフリカーナーと呼ばれるヨーロッパ系の人々にアジア系の移民、カラードと呼ばれるヨーロッパ系と黒人とアジア系民族との混血の人々など、多くの民族が生活しています。南アフリカは人種・文化・言語の多様性から「虹の国」とも呼ばれています。
そのような背景から南アフリカの料理は一言で表せないほど多様で、独自の食文化が発展しています。本記事では南アフリカ在住者が南アフリカに訪れたらぜひ食べて頂きたいおすすめ・伝統料理をご紹介します。南アフリカ料理を楽しめるおすすめのレストランもご紹介します。
※価格は2023年7月現在のものです。レストランによって10〜15%のサービス料がかかる場合があります。
パップ(Pap):南アフリカの代表的な料理・主食
パップは南アフリカの代表的な料理の一つです。パップは南アフリカの黒人が主食としています。
パップの材料はミリミル(Mielie Meal)と呼ばれるトウモロコシの粉です。
パップの作り方は、鍋で水を沸かし、その中にスライスしたチーズをいれ、チーズが溶けてきたら水とミリミルを混ぜたものを鍋に入れて練り上げていきます。見た目はマッシュポテトのようです。パップ自体にはほとんど味がついていないので、チャカラカのような他のおかずと一緒に食べるのが主流です。
チャカラカ(Chakalaka):定番の付け合わせ料理
チャカラカはパップやパンに合わせたり、ブラーイの付け合わせに定番の料理です。
玉ねぎ、パプリカ、人参を薄く切り、油を引いたフライパンで炒めた後、カレーパウダーとパプリカパウダーで味をつけます。最後にベイクドビーンズを入れて煮込んだら完成です。
マイルドな辛さでパップとの相性が抜群です。
ポイキ(Potjie):南アフリカの家庭の煮込み料理
ポイキは南アフリカの代表的な家庭料理の一つです。火にかけた鉄の鍋(ポイキ鍋)で野菜やお肉をワインやビールで長時間煮込んで作るシチューのような煮込み料理です。
野菜はじゃがいもや人参、玉ねぎやセロリなどを入れるのでとても具沢山。
鉄製のお鍋は足付きで、17世紀にオランダ人によって持ち込まれたものです。
ブラーイ(Braai):南アフリカのバーベキュー
南アフリカではバーベキューのことをアフリカーンス語でブラーイといいます。
現地の人は週末ごとに友達や家族を集めてブラーイをするのが定番です。仲良くなった友達と交流を深めたい時は、ブラーイに招待して親交を深めます。
ブルボスソーセージ(Boerewors)
普通のソーセージとは違い、ブルボスソーセージは渦巻きの形が特徴です。牛肉や豚肉とコリアンダーなどのスパイスで作られたソーセージで、ドイツの移民によって南アフリカに持ち込まれました。ブラーイにブルボスソーセージは欠かせません。
ケープ・マレー料理のチキンカレー
かつて、南アフリカに移り住んだインドや東南アジアの人々が、アフリカの食材と母国の食文化を融合して作ったと言われるケープ・マレー料理。その中でも有名なのがチキンカレーです。
玉ねぎ、にんにく、しょうがをみじん切りにして、油を引いたフライパンで炒めたら、ターメリックパウダー、ビリヤニマサラ、カレーパウダーを入れて更に炒めます。そこに鶏の手羽元を入れて水で煮込めば完成です。
布に包んだビリヤニミックスを入れて煮込むとさらに風味がついて美味しいです。スパイスが効いていて食欲をそそる味です。
ボボティー(Bobotee):マレーシアからの伝統料理
ボボティーもケープ・マレー料理の一つです。ボボティーは17世紀のオランダ人の入植時代からマレーシア人によって広められた伝統料理です。ミートローフが原型と言われています。
フライパンでひき肉と野菜、カレーパウダーなどを混ぜ合わせて炒めたら、ドライフルーツやナッツを入れて、容器に敷きつめ、溶きほぐした卵をながしてオーブンで焼いたら完成です。赤ワインとの相性が抜群です。
バニーチャウ(Bunny Chow):インド由来の伝統料理
南アフリカは植民地時代にインド人がサトウキビ畑の労働者に送りこまれたという歴史があります。そのような背景から南アフリカにはインドの食文化が根づいています。
そんな南アフリカの伝統的な料理の一つがバニーチャウです。
バニーチャウは食パンの中をくり抜いて、その中にカレーを詰めた料理で、ボリューム満点です。南アフリカでは今でもファストフードとして人気な料理です。
ビリヤニ(Biryani):インドの混ぜご飯
インドの食文化が根づいている南アフリカにはインド料理屋さんがいたるところにあります。その中での定番メニューはビリヤニです。ビリヤニは長粒のお米をスパイスとお豆で炊き上げたインドの混ぜご飯です。
ビリヤニはスペインのパエリア、日本の松茸ご飯とならぶ「世界の3大炊き込みごはん」のひとつと称されることもあります。カレーと一緒によく食べられます。インド人だけでなく黒人もよく作って食べています。
キングクリップ(Kingklip):南半球の白身魚
南アフリカはインド洋と大西洋に面しているので美味しい魚料理を楽しむことができます。
エビやイカ、カキの他、よく食べられるのがキングクリップです。
キングクリップは南半球の国々で好んで食べられる白身魚で、フライ、焼き魚やムニエルとしてよく食べられています。特に「ブラーイ」には欠かせない魚です。
ミルクタルト(Milk tart)
オランダ生まれのデザート「ミルクタルト」は南アフリカで最も愛されるスイーツの一つです。カスタードパイのような見た目ですが、生地に卵が入っていて、タルト部分は一般的なタルトよりやわらかく、サクサクとした食感が特徴です。
フィリングのカスタードにはたっぷりミルクが入っているので、全体的にマイルドな味わいで、コーヒーのお供に欠かせないスイーツです。南アフリカではクリスマスによく食べられます。
マルヴァ・プティング(Malva Pudding)
南アフリカの伝統的なデザートの一つが「マルヴァ・プディング」です。とても甘い焼きプリンのような味です。
作り方は、柔らかくしたバターと砂糖を混ぜ、卵、ミルク、アプリコットジャムを加えて更に混ぜます。小麦粉とベーキングパウダーを加え滑らかになるまで混ぜたらパッドに流し、オーブンで焼き、生クリーム・砂糖・バター・バニラエッセンスで作ったソースを満遍なく塗り、よく冷やしたら完成です。
マルバプティングはバニラアイスと一緒に出されることがよくあります。
南アフリカのスーパーではマルバプティングのキットが売られているほど馴染みのあるスイーツです。
ルイボスティー(Rooibos tea)
日本でも人気のルイボスティー。ルイボスは南アフリカのセダルバーグ山脈で生育するマメ科の木で、世界中で南アフリカでしか育たないとても貴重な植物です。
この木から作られるお茶がルイボスティーです。
ルイボスティーにはミネラルとポリフェノールが豊富に含まれており、リラックス効果や抗酸化作用が期待できます。また、ノンカフェイン・ノンカロリーなので小さいお子さんや妊娠中の方にもおすすめです。
南アフリカにはバニラやストロベリーのフレーバー付きのものも売っています。
エスプレッソの代わりにルイボスティーを使った「レッドカプチーノ」もおすすめです。
ビルトン(Biltong):スライス肉の軽食
ビルトンは干したお肉を薄くスライスしたもので、スナックや軽食として食べられています。ビーフジャーキーのような食べ物です。ビルトンに使われるお肉は牛肉のほかダチョウ、クドゥ、シマウマなどバラエティーに富んでいます。中にはツナのビルトンも売っています。
ペリペリチキン(Peri peri chicken):名物料理とソース
ペリペリチキンはピリッと辛い唐辛子の入った酸味のあるスパイシーなソースが絡まったチキンのことで、南アフリカの名物料理です。
ペリペリチキンが有名なのは鳥のマークが目印のNando’sというお店。南アフリカのファーストフード店です。ソースの辛さはエクストラマイルドからエクストラホットの5種類から選ぶことができるので辛いのが苦手な方も安心です。
Nando’sのペリペリソースは南アフリカのスーパーでも販売しているのでお土産にもおすすめです。
南アフリカワイン(Wine)
南アフリカには「ワインランド」と呼ばれるワインの産地があるほど、ワインの有名な産地です。
特にケープタウンにはワイナリーが沢山あり、ワイナリーでは宿泊したり、テイスティングしたりできます。
ワイナリーの食事はとても美味しいので南アフリカに訪れたら一度は訪れたい場所です。スーパーでも手ごろな値段で美味しいワインを購入することができます。お土産にもぴったりです。
いかかでしたでしょうか?様々な文化が融合した南アフリカの料理。日本ではなかなか食べることができない料理ばかりなので、南アフリカに訪れた際は今回ご紹介した料理を食べてみてください。